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第9話

 はっきりと自分の想いを確信している現在、過去を振り返れば、きっとそれは一目惚れに近かったのだろうと思う。  それからいっしょにいる時間の楽しさや秋斗のやさしさに触れるうちに、はっきりとした恋愛感情へ育っていった。  自分の気持ちが、まだまだ世間では異常だと思われている同性愛だと分かっていても、好きという気持ちはとめることなんかできなかった。  恋は理屈じゃないから……。  友悟は、秋斗に恋するまでは、自分がゲイかもしれないなどとは、まったく気づかずに生きてきた。  けれども、よくよく考えてみれば、生まれついての性癖なのではと思うようになってきた。  例えば、小学校の中高年の頃、クラスメートの男子たちがかわいい女の子のアイドルスターに夢中になっていたとき、友悟がファンになるのは、いつも同性のアイドルスターばかりだった。  別に特に変だとも思わなかった。  女の子が同性のアイドルの髪形やファッションを真似して楽しむ感覚で、自分も彼らに憧憬の気持ちを抱いているだけだと考えてたから。  中学生になり、周りの男友達が、女の子の話で盛り上がったり、早熟なやつが持ってきたエロ本をこっそり男子たちばかりで見たときも、他の友人たちは興奮しまくる中、友悟は一人冷めていた。……いや、というより嫌悪感を抱いた記憶がある。  そのときは、自分はこの手のことには奥手なのかなと思っただけだったけど……。  額を冷たい窓に押し付け、いろいろ考えていると、次から次へと過去の『そういえば』が、思い出されてくる。

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