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第15話
ワタナベとは体育の教師だ。
どの学校でも体育教師というのは、たいてい怖い先生と相場が決まっているが、宇佐野浜高校も例外ではない。
剣道と空手の有段者で、生活指導も担当しているとても怖い先生なのだ。
時間に厳しく、自分が行く前に生徒が全員揃っていなければ、大きな雷が落ちる。
遅刻してきた生徒は、罰としてグランドを三周走らされる。
友悟は特にこれといって体に悪いところがあるわけではないから、体育の授業も普通に受けてはいるが、やはりあまり丈夫ではないので、体育は苦手だった。
体をきたえるためにジム通いをしているとはいっても、ジムではあくまでも自分のペースで運動できる。
だが、授業では友悟なりに精いっぱいでも、他の男子たちに比べたら鈍くさく、ワタナベから容赦ない叱責が飛んでくる。
「ワタナベ先生の怒鳴り声、心臓に悪いんだよなー」
友悟は一人ぼやきつつ、急いで更衣室へ飛び込んだ。
一番奥のロッカーしか空いていなかったので、そこに荷物を詰め込み、制服のブレザーを脱ぎ、タイを取り、慌ただしくシャツを脱いで、上半身裸になったとき、いきなり後ろから抱きつかれた。
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