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第17話

「真っ赤になっちゃって、かわいいねー。稲葉ちゃん。それにほんと、おまえ触り心地いいよなぁ。肌スベスベ、シルクみたいじゃん」  友悟の耳たぶを噛むようにしながら、増月が鼻息も荒く囁きかけてくる。  その気持ちの悪さと恐怖に、友悟の血の気がスウッと引いていき、そのまま気が遠くなりそうになる。  だめだ。こんなところで気絶なんかしたら、なにされるか……。 「ほんと女なんじゃね? 稲葉って」 「ついてねーんじゃないか? 確かめてみれば? 増月」  二人の子分たちにはやし立てられ、増月はますます調子に乗っていく。  友悟の胸を這っていた手が、ねっとりとした動きで下半身へと伸びてくる。  ベルトを外され、ズボンのジッパーを降ろされた。 「やめろっ!!」  渾身の力で振りほどこうとしても、やはり後ろの大男はビクともしない。  それどころか、友悟のお尻に密着している増月の股間があからさまに固く発情していて、それを押し付けるようにしてくる。 「やだっ……!」  気持ち悪い。吐きそうだ。  分厚い手が友悟の下着の中へ入って来て、直に触られる。  嫌悪と恐怖に目の前が暗くなる。  怖い、助けて。誰か……秋斗……!  次の瞬間、圧迫されていた体がフッと解放され、楽になった。  増月の悲鳴が上がる。 「いてっ……! いてぇよっ!! ちょー、離しやがれっ! このっ高橋っ……!!」  え?  友悟が振り返ると、秋斗が増月の腕をねじり上げていた。  彼の整った冷たい顔立ちが、より鋭さを増している。顔が綺麗な分、秋斗が怒るとすさまじい迫力があった。  友悟は彼のこんな怖い顔を見たのは初めてだった。

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