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第18話
秋斗に圧倒されて、増月の子分たちもひるんでしまい、手をこまねいているだけだ。
「秋斗……」
秋斗が来てくれたので、友悟の恐怖は安堵へと落ち着いていった。
だが、増月に体を撫でまわされ、下着の中へ手を入れられた感触は、まだ生々しく記憶に残っている。
ひたすらおぞましかった感触が、心をむしばみ、ひどい吐き気が込み上げてきた。
「……うっ……」
胃の中の物が逆流してきそうになり、友悟は口元を押さえたまま、その場にしゃがみ込んでしまった。
気持ち悪さに冷や汗が出る。
「白兎っ」
秋斗は増月の腹に蹴りを入れて床に放り出すと、慌てて友悟のほうへと駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫か!? 白兎」
「……うん……」
本当はあまり大丈夫ではなかったが、とりあえずそう答える。
秋斗は、そんな内心を読んでくれたみたいで、体を支えるようにして立ち上がらせてくれた。
思い人のいい香りが、気持ち悪さを消していってくれる。
秋斗がロッカーから友悟のシャツを出してきて、羽織らせてくれた。
「ありがとう……秋斗……」
それでもまだ、友悟の体は震えが止まらない。
そんな様子を見て、秋斗が言った。
「保健室へ行こう、友悟」
秋斗の蹴りをもろに食らって、まだひっくり返っている増月と、無様な親分の姿にオロオロとするばかりの腰ぎんちゃく二人を残して、友悟と秋斗は更衣室を出て行く。
そして友悟は秋斗に半ば抱きかかえられる格好で、保健室へと連れていかれた。
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