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第21話
でも、秋斗に名前を呼ばれるのは、他の男友達に呼ばれるのとはまったく違った響きを持って、友悟の耳に届いた。
なんだか急に名前がキラキラと輝きをまとった気さえする。
今まで特に意識したこともなかった『友悟』という自分の名がこの瞬間、とても愛しいものとして友悟の心にとどまったのだった。
本当に秋斗の影響って大きいな……。
名前を呼ばれただけでも、そんなふうに大感動していたというのに、
「……オレは友悟の体、綺麗だと思うよ」
秋斗は尚もそう続けたのだ。
「え……?」
友悟は一瞬、彼の言った言葉が信じられなくて、思わず秋斗の顔を凝視してしまった。
綺麗……? 僕の体が?
秋斗がそう思ってくれてるって、本当に?
胸の鼓動が痛いほど激しく高鳴っている。
口から心臓が飛び出そう、なんて言葉を身をもって体験した。
「そんなにじっと見んなよ。おっきい目でさ」
友悟はそれこそ穴が開くほどに秋斗のことを見つめていたらしい。少し照れくさそうな表情と声で、秋斗が言った。
「あ、ご、ごめん」
慌てて視線を逸らしてから、もう一度こっそり彼を盗み見る。やはり秋斗は照れているような顔をしていた。
それは今まで友悟が見たこともない表情で……。
いったいどのような反応を返せばいいのか、どういった言葉を紡ぎだせばいいのか、友悟には分からない。
「え、えと、あの、あ、ありがとう。その……褒めてくれて……」
とりあえずお礼を言った。
「本当のことだから。自信持てよ」
秋斗が少しぶっきらぼうに言う。
「うん……」
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