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第39話

 秋斗が友悟を送ってくれるようになってから一週間が過ぎた放課後、彼が言った。 「白兎、今日、オレの家来るか?」 「えっ? い、いいの?」 「ああ。今日は母親、家にいるし。親父は残業が入ることがよくあるから、どうか分かんないでけど、オレがどっちに似てるかは判断できるだろ。だから来いよ」 「うんっ」  友悟はすごくうれしかった。  秋斗といっしょに過ごす時間は、友悟にとっては特別なもので、とても大切で愛しいひとときだが、秋斗にとってみれば、友達と過ごすどうってことない時間のはずだ。楽しくないことはないと思うけれども、それほどの思い入れはないひとときであろう。  なのに一週間前の、約束ともいえないものを憶えていてくれたのがうれしい。  校門を出て、ドキドキし始める胸を抑えつつ、いつもとは逆の方向へ歩き出す。 「ね、秋斗の家も僕の家みたいに道順、分かりにくいの?」  もしそうだったら、僕は秋斗みたいに地理は得意じゃないから、きっとなかなか覚えられないかも。  でも好きな人の自宅だもんね、ちゃんと道順覚えておきたい。なにか目印になるものを見つけといたほうがいいかな。  テクテク歩きながらの質問に、 「いや。オレの家までの道は単純だよ。かかる時間はおまえの家と同じくらいだけど。このまま真っ直ぐ行って、突き当たったら右に曲がって、またひたすら真っ直ぐに歩く。そしたら到着」  秋斗はあっさりと友悟の憂慮を消してくれた。

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