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第43話
「わあ! マカロンだ」
友悟は思わずはしゃいだ声を出してしまった。
「マカロン? これマカロンていうお菓子なのか?」
秋斗はそのお菓子のことを知らないみたいだった。
友悟は一つ一つ個包装されている、色とりどりの丸いお菓子に視線を投じながらうなずいた。
「うん。前にお母さんが友達と一緒にホテルのお菓子バイキングに行ってさ。そのときのパンフレットに載ってたんだ。んで、お母さんがこのマカロンっていうのが一番おいしかったって言ってたから、一度食べてみたかったんだ」
「へえ。確かに女の人が好きそうなお菓子だよな、見た感じとかも」
「うん。でもね、このあたりのケーキ屋さんでは売ってないんだよ。秋斗のお母さんはどこで買ってきたのかなー?」
「あー、Kデパートだと思う。今日の午前中は、あそこの文化サロンでフラワーアレンジメントの教室だったから」
「え? 秋斗のお母さんって、フラワーアレンジメント習っているの?」
どんなものかは知らないが、なんだかお洒落だなーと思っていると、
「いや。一応教えているほうなんだ」
なんて答が返ってきた。
「えっ? 教えてるの? うわー、かっこいいー。なんかやっぱり、秋斗のお母さんって感じ」
「なに言ってんだか。それより、そんなにおいしいお菓子なら早く食べてみようぜ」
「うんっ」
二人は同時にマカロンにかぶりついた。
「あー、おいしい」
「ほんとだ、うまい」
「この味、この食感、うん。プリンセスのお菓子だー」
友悟が思わず呟くと、
「プリンセスのお菓子って……いったいどういう例えだよ?」
秋斗が笑った。
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