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第45話
「ほらこれ」
秋斗に写真を見せられる。
「もうやっぱり変な顔して写ってるじゃんかー」
友悟はぼやいたが、秋斗は意に介さない。
「あと一枚だけフィルムが残っているから、白兎いっしょに撮ろうぜ」
そう言うと、友悟の肩を引き寄せ、腕を伸ばしカメラを自分たちのほうへ向けて、シャッターを切った。
「白兎が初めてオレの家に来た記念に」
そんな少々くすぐったくなるような言葉とともに、二人で写った写真をくれた。
「ありがとう」
友悟は写真を見つめる。
自分の写りはともかく、秋斗は実物通りかっこよく写っている。
これ宝物にしよー。
ウキウキとそう思ったのはいいが、もう一枚の、友悟が一人で写っている写真は秋斗が手にしたままだ。
「そっちの写真もちょうだい、秋斗」
「これはオレが記念に持っておくんだよ」
「えー、やだよー。いきなり撮られたから、すっごく変な顔して写ってるもん」
「そんなことないよ」
「……それって、僕はいつも変な顔してるってこと?」
「変な拗ねかたすんなよ、白兎」
秋斗はおかしそうに笑いながら、写真を机の引き出しに入れてしまった。
あーあ、もう。
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