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第46話
結局、その日は秋斗の家で晩ごはんまでごちそうになってしまった。……彼の父親は残業らしく会えずじまいだったが。
秋斗の母親にお礼を言って、外へ出ると、
「白兎、送っていくから」
そんなふうに秋斗が声をかけたきた。
「いいって。今夜は遅いし、いくらなんでも増月たちも待ち伏せなんかしてないよ」
それにこの一週間、増月たちを帰り道で見かけたことはない。
「オレの自己満足のためだから」
なのに、秋斗はそう言って聞かなかった。
「うーん。じゃ真ん中の地点の学校まで」
「家まで送る」
「でもそれじゃ秋斗、すっごい手間じゃん」
「いいんだよ」
そう言うと、さっさと歩き出す。
「秋斗って、本当に面倒見いいんだね」
苦笑とともに呟くと、友悟より少し前を歩いていた秋斗がポソッと言葉を放った。
「白兎だからだよ」
「え?」
「他のやつだったら、わざわざ送ったりしない」
「秋斗……」
トクンと高鳴る胸。
秋斗、それってどういう意味?
なにか深い意味があるの? 僕は秋斗にとって特別な存在だって自惚れてもいいの?
それともそんなのは僕の思い込みでしかなくて、なんの意味もないの?
知りたかった。聞きたかった。
けれど、友悟が口を開く前に、
「なあ白兎、オレ、母親と親父、どっち似だと思った?」
秋斗が話題を変えてしまった。。
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