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第48話

 それは次の日から連休が始まるという金曜日のことだった。  この日は、朝は快晴だったが、時間が経つにつれて雲が多くなり、昼休みを迎える頃には暗い曇天となっていた。  友悟はお弁当を食べながら、窓の外を見上げて、  今日はおまじないに挑戦できそうかな……?  そんな期待をしていた。 「なんか天気あやしくなってきたな」 「今日の降水確率十パーセントって言ってたから、オレ傘持ってきてねーよ」 「オレもー」  周りで友人たちがぼやいている。    その女子生徒が友悟たちのクラスの教室へやって来たのは、友悟が唐揚げを頬張り、秋斗が二つ目のパンを平らげたときだった。  女子生徒は出入り口の近くにいた男子生徒に秋斗を呼んでほしいと頼んだみたいである。 「秋斗、加納(かのう)さんが呼んでるけど……」  複雑そうな表情で、男子生徒が秋斗に伝言をした。  その瞬間、教室内が水を打ったように静まり返る。 「……ああ」  短く答えてから、秋斗は出入り口のところにいる女子生徒のもとへ歩いていく。  彼の背中を見つめながら、友悟の心臓は凍り付いていった。  秋斗を呼びだしたのは、隣のクラスの加納美菜(みな)で、学校一の美少女として有名な存在だ。  教室の出入り口での二人の会話は、ごく小さな声で交わされていたが、静かな教室内では筒抜け状態だった。

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