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第49話
今、教室にいるほとんどの生徒たちと廊下にいる生徒たちは、秋斗と美菜に注目して、耳をそばだてているはずだ。
二人ともこの学校や近隣の学校にまで、密かなファンクラブがあるくらいの人気者だから。
きっとうちのクラスにも秋斗や美菜に思いを寄せている生徒が少なからずいるだろう。
友悟もまた、その中の一人であるのだが……。
「高橋くん、ちょっと話があるんだけど……」
美菜が、綺麗にアイラインを引いた大きな目で秋斗を見上げながら、言うのが聞こえた。
「ここじゃだめなのか?」
「……うん」
美菜がチラッと教室内を見る。
「分かった」
秋斗は感情が読めない声音で彼女に答えると、そのまま美菜を促して、教室を出て行った。
それから秋斗と美菜がどこへ行ったかは分からない。
二人の姿が消えると、教室にはざわめきが戻ってきて、そこここで秋斗と美菜の話をしている。女子生徒の中には泣き出してしまっている子までいた。
さっきまで秋斗といっしょに昼食を食べていた友悟や宏たちのグループも話題は同じだ。
彼が残していったパンを勝手に食べながら、宏がぼやく。
「あの流れは、やっぱり美菜ちゃん、秋斗に告白するってことだよなー。くっそー、オレ、ずっと美菜ちゃんのファンなのに。彼女もやっぱりイケメンがいいのかー」
「でもさ、たとえそうでも秋斗が美菜ちゃんと付き合うって決まったわけじゃないだろ」
別の友人が宏を慰めるように言う。
友悟もその意見に望みを託したかった。
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