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第72話
明後日、白兎の両親が帰ってくるまでの、二人きりでいられるあいだに。告白しよう。
どういう反応をされるのか、正直言ってかなり怖い。
白兎も同じ気持ちでいてくれたら、本当に天にも昇る心地になれるだろうけど。
でも……。
「……男同士だもんな……」
出てくる吐息はどうしても重いものになってしまう。
それでも、ふられる覚悟も持たなければ。……誰よりも白兎のために。
もしも玉砕したら、二人の関係はどうなるのだろう?
親友という関係は砕け散ってしまうのが必至だろう。
あからさまな嫌悪感を見せられたら、さすがに秋斗もショックだが、友悟の性格からして、それはないように思う。
彼はただただ困惑するばかりというところか。
困り切って、悩んで、悩んで……。
最悪そうなった場合は秋斗のほうから距離を置くしかない。
「ったく。ふられたときの対処の仕方を、告白する前からこんなにも考えなきゃいけないなんて」
でもしかたない。
いくら自由な世の中になったとはいえ、やはり同性愛はまだまだ少数派なのだから。
友悟の寝息がすいぶん穏やかなものになってきた。
こじらせないで済みそうで一安心である。
秋斗は、愛しい人の寝顔を独り占めしている今このひとときを胸に刻み込んでいた。
友悟は深い眠りに落ちている。
二人を包み込むように、小雨の降る夜は深くなっていった。
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