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第79話

「……っ……ちがっ……秋斗っ……」  友悟は慌てた。 「あ、あ、あの、あのおまじないの相手……、あ、秋斗なんだよ……!」  そう、何度も何度も挑戦して、昨日ようやく成功したあのおまじないには、秋斗への狂おしいほどの恋心が込められていたのだ。  それに元々、秋斗が口にしたおまじないだったからこそ特別だったのである。 「え……?」  けれども、秋斗には友悟の真意は伝わりきっていないようだった。  いつもどんなときも、頭脳明晰で勘の鋭い秋斗だというのに。 「だ、だから、ぼ、僕はずっと、秋斗が、その……、す、好きで。い、一年生の頃からずっと……好きだったんだ……」  友悟は自分の顔がそれこそトマトのように赤くなるのを感じていた。  風邪とは違う理由で体温も上昇しているかもしれない。 「友悟……」  ようやく秋斗にも友悟の思いが届いたみたいだった。  いつの間にかベッドサイドに来ていた秋斗に体を引き寄せられ、抱きしめられた。 「あ、秋斗……、ちょっ……と……離して……」 「やだ」  秋斗の力強い腕は、友悟の体を抱きしめたまま離してくれない。  大好きな人の腕の中にいる自分。  その状況はちょっぴり恥ずかしくて、でもうれしくて……幸せで。 「……ね、秋斗。僕ね、実は……ゲイなんだよ。秋斗も、その、ゲイなの……?」  彼の腕の中でこっそりカミングアウト。  秋斗はさすがに驚いていたが、問いかけには真剣に答えてくれた。 「どうなんだろう? 友悟に会うまでは、恋愛対象は女性だったし。ゲイっていうのとは違う気がするけど……」 「じゃ、バイセクシャル?」  だとしたら、不安は倍になっちゃう。  だって男女問わずライバルになる可能性があるから。  しかし、秋斗は否定した。 「いや。それも違う。なんていうか、こんなこと言うの恥ずかしいんだけど、おまえだから好きになったんだよ。男とか女とか関係ない。友悟だから、こんなに好きになったんだ」

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