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雨音の家 3

次の日から、広瀬は同僚の宮田と一緒に自殺した研究者の家族や亡くなったときに所属していた大学の同僚に再度話を聞いて回った。 島根の刑事が言っていたように、自殺案件にそれほど人出は割けない。このため二人でかなり大勢の人に会わなければならなかった。自殺とされた後に刑事が訪ねてくることに、多くの人が驚きいぶかしんだ。 宮田は車の中で広瀬に言うでもなくブツブツ言っている。 「俺のミスなのか。でも、自殺以外考えにくいだろ。柵を乗り越えて飛び降りてたし、心療内科に通ってて、かなり精神的に参ってたって家族も言ってるし。家族は、自殺で納得してたし」 広瀬は車のハンドルを回し、男性が以前勤めていた大学の駐車場に停める。 「誰も宮田に責任があるとは思っていないよ」と告げた。さっさと仕事をこなしていこう、と思っている。 宮田はため息をついた。「そうかな。高田さん、真っ先に俺を指名したぜ。今、動いてる強盗傷害の事件ははずされちゃうし。実際、この自殺の件で報告書、書いたのは俺だ」 「宮田がこの件に当たるのが一番効率的だから割り振ったんだろ」 「それだけじゃない理由があるような気がする」 宮田は神経質すぎだ、と広瀬は思った。だが、言わなかった。

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