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雨音の家 22
風呂からあがると広瀬はキッチンのカウンターチェアに腰かけた。
チキンスープを温めて大ぶりのマグカップに入れて飲む。
「いい匂いだな」と東城はタオルで髪を拭きながら彼の横に立つ。軽くキスをしてくるのを広瀬は受け入れた。
さっき、シャツをはだけさせ、あらわになった乳首に唇をすべらせてきた。それだけのことだったのに、身体に甘いしびれがはしった。
「あ。いや、だ」と告げた声が震えたことが恥ずかしい。
そんな気持ちを解きほぐすように、穏やかに彼の手や唇が広瀬を行き来する。
乳首に軽く歯をたてながら、ためらいもなく、彼がベルトをゆるめ手を差し入れてくる。反射的に太ももがキュッと内側にしまった。だが、東城は慣れた手で押し入ってきた。
こんな短い時間で、すっかり濡れて固くなってしまった。いつも以上に感じている。
どうしようもなく自分の身体は、彼の手や指を、その先を求めている。
喘ぎ声も、ねだるように揺らす腰も、東城が受けとめてくれた。
くすぐるように指で肌をなでて、その後は、唇だ。キュッと痛みがあるのは、吸われているせいだ。
腰の脇の弱い部分を吸われて、「ん、」と鼻にかかった声がでた。
彼が、腕を回して広瀬を抱きしめてきた。
東城のシャツにしがみついて、広瀬は足を彼に絡めた。
優しく時間をかけて、東城が押し入ってきた。広瀬の身体を知り尽くしている彼は、どこをどうすれば感じるのか、よくわかっている。じわじわと入っては、ゆっくりと引いていく。そのたびに、広瀬の中は切なく窄まり、腰が動いた。
何度か繰り返した後で、とうとうじれて、「もっと」といった。
腕の力が強くなり、容赦なく押し入られた。逆巻く熱に穿たれて、広瀬は声をとめられなくなった。息を吐くばかりで、吸うことができない。
目の前がチカチカして、何度も白くなって、それからちょっと意識が飛んだのだろう。
気が付いたら東城が広瀬を抱いて深く息をついていた。
認めたくはないけれど、東城が言う通り、セックスしたら頭の中が一回転して落ち着いてしまった。
身体の力が抜けてしまったら、彼がほとんど抱きかかえるように浴室に連れて行ってくれた。
指先から髪の毛まで全部洗ってもらって、二人で湯船につかった。
温かいたっぷりのお湯の中で、お互いなにも話をしなかった。
ただ、東城が自分を愛おしそうに見て、時々お湯からでている肩に、手でお湯をかけて温めてくれた。
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