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雨音の家 26
広瀬と宮田は自殺した2人の研究者についての捜査も続けていた。
2人が所属していた大学の研究室の責任者だった岩下教授は、私大を辞めた後海外にいっていることがわかった。
東欧にあるいくつかの大学の友人のところに行っているらしい。
戻ってくるまでには数週間はかかるということだった。
そして、研究室の他のメンバーの現況はわかってきていた。
今のところ自殺している者はいない。
人体実験のことも証言するものもいない。
広瀬と宮田が話をしていないメンバーは後3人で、そのうち2人は海外の大学に留学中。
もう一人だけは、沖縄に行ったきり誰も連絡がとれないでいる。ただし、人体実験の関係者というよりも、ダイビングかなにかのマリンスポーツに夢中になっているだけという可能性の方が高い。
だから、研究者の自殺や人体実験のことは、しばらく動きがなさそうだった。広瀬と宮田は現状までの報告書を出し、岩下教授が海外から戻ってくるのを待つことになった。
所轄では他にも仕事は山のようにある。
忙しい毎日が続いていた。
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