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雨音の家 27
そんなある日、広瀬が休みの日に、珍しく東城も合わせて休みをとっていた。
彼は、朝食を食べた後、腕時計を見て「じゃあ、行くぞ」と広瀬に言った。
そして、車の助手席に広瀬を乗せると当たり前のように出発した。
ほとんど何の説明もなくどこかに連れて行かれるのはいつものことだったからそれほど驚かなかった。
東城にしてみたら、説明は前にしてあり、広瀬がそれを聞いていなかったのか意図がわからなかったのかどちらかと言うことの方が多いからだ。
車は、都心から少し離れた、お屋敷が建ち並ぶ高級住宅街の小高い丘の上に入っていった。
そこには、大きな門があった。東城がセキュリティに長い桁数の番号を押すと、門は自動でゆっくりとあいた。
急な坂を上っていくと4階だてくらいの大きな建物が見えてきた。
前面に広い芝生の庭があり、奥には手入れの行き届いた木々が植えられている。建物は直線的で美術館かなにかのように見えた。名のある建築家の設計なのだろうか。
説明を待っていたが、特にされることはなく、車はその大きな建物をあっさりと通り過ぎて奥に進んだ。
木々の中の細い道を進んでいくと、今まで全く見えなかった建物が急に姿を現した。2階建ての家だ。先ほどの美術館のような建物とは異なりそれほどデザインをこらしているわけではない。
ものすごく古いわけでもなく、新しくもない。
外見は普通の大きな家だった。
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