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春の酔い 7

意識が戻って家に帰ってきた東城にその時の彼の母親のことと自分がとても驚いた話をしたら、彼はゲラゲラ笑った。 「俺のお母さんそういうとこあるんだ」と言った。「自分では最良のことと思ってるんだろうけど、ちょっとずれたことすんだよ」 翌日、広瀬が仕事から帰宅すると、東城も家に帰っていたのだ。彼は昼過ぎに退院し、今日は休みをとったらしい。 家にいるときは書類を読んだり身体を動かしたりしているか、そうでなければテレビを見たりといつも何かしらしているのだが、その日はソファーにぼうっと座っていた。すっかりいいと口では言っているが、まだ、本調子ではないのだろう。 東城がいるだけでしんとしていた家の中がざわざわとにぎやかになっている。 広瀬が彼の前を通ると手を伸ばして抱き込んできて、自分の膝の上に広瀬を乗せた。 「母が励まさなきゃって思うくらいには、心配してくれたのか?」 にやにや笑っていたから、広瀬は、うなずいてやった。「そうですね、多分」 「気のない返事だな」 「それなりに心配はしましたよ」 「それなりね」 「東城さんの家族にはいつも驚かされます」 「ああ、俺でも驚くくらいだから、そうだろうな。でも、他所んちの家族なんてそんなもんだろ。俺だってお前の家族にあったら、多分びっくりの連続だよ」 そんなことより、と言って、軽くキスされた。 「お前に会うの久しぶりなんてな。せっかく一緒に暮らしてるっていうのに、全然顔合わせないもんなんだな」お前が確実にこの家に帰ってくるから、前よりはましだけど、と彼は言った。 それにしても、どうしてまた殴られたりなんかしたんだろうか。

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