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春の酔い 9

横たわった自分の足の間に、広瀬が顔を埋めていた。『お前が上になってやる?』とからかったら、『いいですよ』といい、『じゃあ、東城さんは、横になってじっとしててください』と彼は一本調子に言ったのだ。 広瀬が、口いっぱいに自分の性器を頬張っていた。わざとかどうかわからないが口をすぼめて舐めたり吸ったりする音がいやらしい。 熱心に舌を、口を動かしている。気持ちがいいので、広瀬に命じられままじっとしていたら、そのうち、喉の奥まで入れようとした。苦しそうな顔は見たくないので、東城は彼の頭をそっと抑えた。「無理すんなよ」 広瀬は上目遣いに自分を見た。目は真剣で、かすかに涙が浮いている。 彼がいきなり口を離したので、恥ずかしいくらいに立ち上がった自分自身が広瀬の頬に当たった。 「口ではやって欲しいんだけど」と東城は急な刺激にうめいて広瀬に言った。「喉の奥には入れなくていいってだけで」できれば、もっと舐めていてほしいと思う。 ところが、広瀬は黙ったまま、東城の胸に手をついて身体を起こし、太もものところにまたがってきた。 手を伸ばしてベッドサイドにある引き出しをあけ、入っていたコンドームを取り出した。両手でゆっくり時間をかけて東城の性器にかぶせてくる。その動作も刺激的だ。さらに彼はジェルをかけて手でつつみこんで上下させてきた。 「手でしてくれんの?」と東城は聞いた。それでもいいかな、と思う。広瀬は返事をしてくれない。なんだか一生懸命な動作なので、東城も話をするのをやめた。 彼は立膝をして、今度はジェルを自分の手に指にまぶし、自ら後ろの秘所にそのまま手をのばした。 指が入り口に触れたのだろう、ぶるっと身体を震わせた。今まで、何度かは、東城の指に広瀬の指を重ね、二人の指で中をほぐしたことはあったが、広瀬が自分ひとりでそれをするのは見たことがなかった。東城が知らないだけで自慰するときにはしているかもしれないと思ってはいたが、今日の様子を見ると、とても、経験がある感じではなかった。 自分でこわごわと触れ、腰をもじもじさせてもどかしそうにしている。 まだ、それほど奥にはいれていないだろうに、緊張して肩で息をしている。自分で入れるには勇気がいるのだろう。 とうとう諦めたのか、たいして解いてもいないのに、腰を上げて、入れてこようとした。慌てて、彼の腰をつかんでとめた。 広瀬は目を開けた。ちょっと意識が飛んでいる視線だ。

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