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夏休み 1
いつものように二人で遅い時間に夕食をとっていると、近所で警報音が鳴るのが聞こえた。本館の方からだった。
鳴り続ける中で東城のスマホに電話がかかってくる。彼は電話をとると何回か返事をしていた。
そして、立ち上がる。
「警備会社からだった。誤作動かもしれないから、見てきてくれってさ。異常だったら警察呼べって」という。「警備会社入れる必要性ってなんだろうな」と誰にでもなくブツブツいっている。
広瀬も立ち上がった。
「お前、ここにいていいよ」
「異常事態かもしれないから」
「だったらなおさら、ここにいて欲しいよ。暴力沙汰はごめんだ」と言われたが、強くついてくるなとは言われなかった。
本館はライトに照らされていて、ジャンジャン警報がなっている。ドアの前に誰かがたっていた。小柄な子供のように見える。
東城たちがくるのが見えたのだろう、走って逃げようとした。
「広瀬、あっち」と東城に指示され、二方向に分かれて侵入者を追った。
前庭付近で東城が侵入者を追い詰め、足払いをして倒している。近づくと、中学生くらいの男の子だった。彼は、大げさに「痛い痛い」とわめいている。
「うるさい」と東城は言った。「どこもぶつけてないだろうに」
「足が、動かないよ」と少年は言った。「過剰暴力だ」
「バカかお前。人のうちに入ってきておいてなにが過剰暴力だ」
そして、東城は警備会社に電話をし子供のいたずらだと伝えた。しばらくして警報は鳴り止んだ。
少年はその場に座っている。ふてくされた顔をしていた。
「親の連絡先は?」と東城は少年に聞いた。「肝だめしかなんかか?仲間がいるのか?」
少年は答えない。
「警察に連絡するか」と東城は言い広瀬の方をむく。「広瀬、家に帰ってていいよ。これから110番するから」
「あんたが警察なんじゃないのか?」と急に少年はいう。「このうちの人警官だって言われたよ」
「誰がそんなことを?」
「オバさん」
「オバさん?」
そこでまた東城のスマホが鳴った。画面をみてすぐにとる。「はい。美音子さん?」
遠くで車のライトが見える。門のところに車がきたのだった。「今?」と東城が言っている。
彼は少年を見た。「お前、誰なんだよ。名前は?」
「東城瑞斗」と少年は名乗った。「オバさんたちが来たの?」と聞いてくる。
「そのようだな」と東城は言った。
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