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夏休み 3

「もっともじゃありません」と岩居の叔母がぴしゃりと東城に言った。 「瑞斗くん、高校を退学になったのよ。9月には寮のある学校に行けることになってるんだけど、その間に騒ぎをおこしたら受け入れはできないって言われているの。他の親戚で部屋がありそうなうちは全部あたったんだけど、夏休みだから旅行でいなかったり、受験生がいたりで無理なのよ」 「それで俺のうちに?」と東城は言う。「申し訳ないですけど、だめです。俺はご存知の通りほとんど家にいないし、ガキの監視なんてできません。それに、俺だって来週は夏休みとってるんで」 「あら、そう」と岩居の叔母がいう。「どこか旅行に行くの?」 「旅行にはいかないですけど」と東城は答える。 「じゃあ、ちょうどいいじゃない」 なんだって夏休みだなんて余計なこと言うんだろう、と広瀬は思った。東城って時々、相手がどう思うのか考えずに発言してしまうのだ。 東城は首を横に振っている。「かんべんしてくださいよ、叔母さん。めったにとれない休みなんだから。家の片付けしたり、今までやれなかったことしようと思ってるのに」 「瑞斗くんが手伝うわ」と岩居の叔母が確信をもっていう。 「俺は手伝わないよ」 「こんなガキがなにできるっていうんですか」と瑞斗と東城がほぼ同時に言った。 岩居の叔母は瑞斗にいう。 「瑞斗くんはきちんとお手伝いをします。もう高校生なんだからなんでもできるわ。それと弘ちゃん。あなたの親戚の子供なのよ。困ってらっしゃるんだから協力しなさい。瑞斗くん、お母さんが海外に行ってしまってから若山さんが世話をしてくださっていたの。今までもずっとよ。でも、若山さんのご主人がご病気になってどうしても瑞斗くんの面倒がみれなくなったからってご連絡をいただいたの。東城のおうちのことなんだから、もっと前に対応して差し上げなければならなかったのよ」結構な迫力である。

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