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夏休み 6

朝、東城に言われたとおり、瑞斗は起きてこなかった。 本当に寝ているのか、起きているがあいさつしたくないのかはわからなかった。かまっている暇はなく東城と広瀬はあわただしく仕事に行った。 夜遅くに広瀬が帰ると、瑞斗はおとなしくテレビをみていた。 「ただいま」と声をかけるとこちらをふりかえる。 「ご飯は?」と聞くと、「食べる」と答えてきた。 冷蔵庫にあるものを適当にみつくろって並べる。 瑞斗は、おいしそうにご飯を食べている。遅い時間だったのでおなかが減っていたのだろう。昼は勝手に食べたようだが、夜は待っていたのだろうか。単に準備するのが面倒だったのだろうか。 彼は、広瀬と同じくらいの量を食べている。石田さんが今度くるのいつだろうと思わずカレンダーを見た。岩居の叔母が、石田さんには瑞斗の分も食事をつくってくれるよう頼むと言っていた。しかし、その前に広瀬と瑞斗で今ある食料は食べつくしてしまいそうだ。 「これ、広瀬がつくったの?」と聞いてきた。 「石田さんだよ」 「石田さんってだれ?」 「食事作ってくれる。掃除も」 「お手伝いさんが来てるの?石田さんってお手伝いさん?」 「うん」 「広瀬は家事しないの?」 「しない」 「へえ」と瑞斗はなぜか意外そうに言った。昨日より態度が柔らかくなっている。 だが、それも東城が帰ってくるまでだった。深夜近くになって、東城が帰ってきた。少し飲んできたようだった。

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