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誰かとこんなことをするのは初めてだったが、八代の服を脱がすことに 全くと言っていい程 抵抗はなかった。 妙に厭らしく聞こえたのは、ベルトの金具がカチャリと触れ合う音だ。 ホックを外し ジッパーを下ろしていくと、察しのいい男は軽く腰を浮かせた。協力に感謝しながら 太ももの辺りまでズボンを下げ、コットン生地のボクサーパンツの上から彼自身にそっと触れる。 「ッ…」 突然のことに驚いたのか、八代は僅かに腰を引いた。 もしかすると、目隠しをしているせいで 敏感になっているのかもしれない。視覚を失うとそれを補うかのように他の感覚が鋭敏になるという話を 以前聞いたことがある。 「…はぁ」 初めて知った好きな男の匂いに 脳髄が溶かされていくようで、ふとため息が漏れる。 彼に触れられた時とは違い、自分が触れている時は 不思議と胸の痛みは感じなかった。何もかも僕のせいにできる状況を作ることで、罪悪感からの逃げ道を作っていたのかもしれない。 「ん…ッ、…ん」 下着越しに口づけていると、勃たなかったらどうしようという気になってくる。目隠しをしているからとはいえ、僕が薫でないことに変わりはないのだ。 そして何より、他人とまともに触れ合ったことのない僕に、八代を満足させられる技量がないことが致命的だった。 それでも丹念に愛撫を続けていれば、彼のソコは欲望のままに張り詰める。それが の年頃であるが故のものだと理解しながらも 素直なまでに反応を示すその部分に愛しさを感じずにはいられない。 初めて嗅いだ“男”の匂いは決して快いものではなかったが、八代のものだと思うだけでひどく興奮した。 甘い蜜に誘われた僕が、彼の下着の縁に指を掛けるのに躊躇いはなかった。

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