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元の姿。
ⅡⅩⅤ
セシルはその日も、いつものように掃除に取りかかっていた。
今はいったいいつだろう。早朝から取り掛かっていた掃除だが、この広い屋敷ではやはり終わる気がしない。太陽はすっかり頭上にあった。天を仰げば、太陽の眩しさに目がくらむ。以前は何てことなかったのに、今はこの明るさが眩しいと感じる。
いつからだろう。太陽の光が眩しすぎると思ったのは――。太陽に目をくらませて倒れそうになるなんて。そこまで抵抗力が落ちているのだろうか。それに夏の突き刺すような暑さはない筈なのに、日光に触れる肌が若干の痛みを感じる。
セシルは骨ばかりの細い腕に目を落とし、撫でつける。その腕は日陰に入れば痛みもまだそこまでではないものの、ひとたび太陽の下に出ると肌が熱を持っていた。色も赤みを帯びている。しかしそれも今だけのことで、次の朝にもなれば色白な肌の色に戻っていた。だからセシルは特に気に留めることなく、自分が成すべき仕事に打ち込む。
芝生の中に雑草を見つけたセシルは駆け寄り、土から引き抜く。すると鋭い痛みがセシルを襲った。視線を落とせば、指の皮膚は引き裂かれており、真っ赤な血が流れている。馬油も塗らないその手はここへ来た当初に戻り、見るも無惨な姿をしていた。
「セシル、セシル。どこにいるの?」
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