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彼の決意。

 確認のためにナイトテーブルの引き出しを開けると、馬油は最後にヴィンセントが手にした当初と量が変わっていない。 (ああ、なんということだろう)  イブリンから話には聞いていたものの、けれどもまさかこれほどまでセシルが彼自身を責めているとは知らなかった。おそらく彼のことだ。ヴィンセントがセシルを避けている理由は自分が汚いからだと思い込んでいるに違いない。安易な拒絶が招いた結果、セシルは自分を壊そうとしている。彼の姿にヴィンセントは頭打ちをした。  セシルに嫌われたくないが為に彼を拒絶した自分が腹立たしい。 「セシル、すまない」  ヴィンセントはぽつりと謝罪する。  それはヴィンセントがセシルと向き合うことを決めた瞬間だった。

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