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どう足掻いても。

「……はい。いえ! いいんです!!」  セシルは頷きかけたが、はっとして大きく首を横に振る。同時に視界の端で涙が散っていくのが見えた。  唇を噛みしめていると、セシルの頭にふんわりと大きな手が乗った。  恐る恐る顔を上げると、彼は目を細め、微笑を浮かべている。 「ありがとう。嬉しいよ」  彼の笑みは絶大だ。悲しみで痛むセシルの胸をあたためる。心に宿った慕情はさらに大きく膨れ上がっていく……。  カールトン卿とこうしているだけなのに、身体が熱い。蕩けてなくなってしまいそうだ。  ああ、やはり自分はどう足掻いたってカールトン卿のことが好きなのだ。  彼への慕情を再確認したセシルはこの時、既に止められないところまできていることを、本人はまだ気付いていなかった。

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