139 / 241

溢れる。

 セシルが小さく喘ぐと、ベルベットの低い声が尋ねてくる。  彼の手の中で欲望を持ったセシルの一物がさらに大きく膨れ上がっていく。セシルが感じているということは同じ性別ならばこの状態をひと目見れば理解できるはずなのに、こうして尋ねてくるからたまらない。 「……ふ」  恥ずかしくて答えられない。それでもセシルは従順にゆっくりと頷いてみせた。 「良い子だ」  セシルの反応に満足した彼は一物を包み込んだ手を動かしはじめる。  長い指に扱かれ、弾き出る蜜は次第に大きな水音を奏ではじめる。  そうなればセシルの唇は嬌声ばかりが放たれる。  腰が跳ねるたび、ベッドのスプリングが軋みを上げ、妖しい空間を作り上げる。 「あっ、っあっ!!」  五感のすべてがカールトン卿に支配されていく……。 (好き、ヴィンセント。この手を離したくない)  そう思った時だ。セシルの中で感情が大きくうねりを上げた。  両手を伸ばし、彼の首へ巻きつける。自らの口を彼の唇に押しつけ、塞いだ。  彼もこの行為を受け入れてくれる。  セシルはそう信じてカールトン卿と交わした口づけを思い出しながら、カールトン卿の口内へ自らの舌を差し出し、ざらついた舌に触れた。 「……っふ」  痺れるような熱を感じれば、セシルの中でよりいっそうの慕情が膨らんでいく……。  けれどもどうしたことだろう。セシルの一物を扱いていた彼の手は止まり、それっきり動かなくなった。  何事かと思って唇を離し、彼の様子を窺えば、薄い唇が一文字に引き結ばれている。  セシルを魅了するばかりだったサファイアの瞳からは何の感情も読み取れない。  彼の目は輝きを失っていた。 「ヴィン、セント?」  何かがおかしい。

ともだちにシェアしよう!