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浅はかな。

 不安になったセシルが尋ねた。しかし彼は身体を離すと無言のまま背を向け、寝室を去って行った。  もの悲しい音を残して寝室の扉が閉まる。  一人、取り残されたセシルは意味も判らず、呆然としてしまう。  沈黙が続く空っぽの空間。一人きりになったそこには、暖炉の炎だけが乾いた音を立てている。  カールトン卿が自分の元から去ってしまった。  セシルがそれに気が付いたのは、それからしばらく経った後のことだった。

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