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彼の評判。

 そもそも、見ず知らずの人間にカールトン卿の優しい心根が判るはずがない。なにせ彼は、身寄りのない孤児にも聖誕祭の贈り物を、と考え、融資をする人だ。そんな男性が誰かを不幸に陥れるなんて絶対にしない。  第一、彼がヴァンパイアだという証拠は何もないのだ。  もし、そんな根も葉もない噂が国中に広がってしまえば、公爵という立場の彼は立つ瀬がなくなるし、彼のたったひとりの肉親であるイブリンはとても悲しむことになる。  今日出会った女性のことをイブリンには話さないようにしよう。自分の腹を痛めて産んだ我が子が妙な因縁を付けられ、苦しむ姿を見るのは母親としてどんなに辛いことかをセシルは十分に理解している。  自分は役立たずでぐずでのろまだけれど、それでも彼の役に立つことがあるのなら何とかして助けたい。自分ができることはただひとつ。彼がヴァンパイアではないと証明することだ。  セシルは拳を強く握り閉め、彼女の誤解を解くことを固く決意した。

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