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身の程。

「ぼくが馬車を動かそう」 「……頼む」  ヴィンセントは彼の言葉に甘えることにした。 「わたしも行きます」  イブリンは二人の前に進み出た。彼女の剣幕は真剣だ。誰にも反対なんてさせない、有無を言わせない雰囲気があった。彼女もセシルが大好きなのだ。  セシルは誰からも愛される子だ。彼はもっと身の程をわきまえなければならない。ヴィンセントは改めて思った。 「わかりました」  ヴィンセントが頷く。 「よし、道案内は頼むよ」  ヴィンセントの言葉を合図にしてガストンが口を開いた。  ――いつの間にか、太陽は頭上高く昇っている。  ヴィンセントは最後に漆黒のローブを身にまとい、そうして三人は明るい日差しの中へとガストン自らが馭者(ぎょしゃ)を務める馬車に乗り込んだ。

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