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彼女が望むもの。

 彼女は、カールトン卿が選んだ花嫁と永遠を添い遂げられるよう、呪いを掛けたとそう言った。それはすなわち、セシルと一生を添い遂げることを意味する。  彼は彼女の呪いによって、これから出会うかもしれない最愛の女性と添い遂げることができず、同性の、しかも愛していない自分と生きるしかないのだ。  ――ああ、なんということだろう。彼は自分の為に一生を棒に振ってしまったのだ。それも、永久という一生を――こんな愚かで醜い自分と婚約したばかりに……。 「どうすれば貴女の怒りを静められますか?」 「そうね、とばっちりを受けた貴方に免じて、あの憎たらしい家族の誰かがこの世を去れば、許すことにしましょう」  彼女は懐から銀の短剣を取り出すと、セシルに渡した。 「銀はね? どんな化け物でも滅ぼすことができるの。たとえ、ヴァンパイアであってもその効果は変わらないわ」  彼女には有無を言わさない力があった。セシルの手は自分の意志に関係なく勝手に動き、銀のナイフを受け取った。 「カールトンの血縁の誰かが亡くなれば、それでイブリンたちカールトン家を許していただけるんですか?」  震える声で尋ねれば、彼女は深く頷いた。 「ええ、もちろんよ。さあ、貴方は誰を殺してくれるのかしら。イブリン? それともヴィンセント? それともおしゃべりなサーシャがいるグレディオラス家の誰かかしら」

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