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灼熱の炎に焼かれて。

 イブリンはヴィンセントの頭に被さっていたフードを取り除いた。するとそこには父親ダイモンと同じプラチナブロンドと、美しい双眸が披露された。  ヴィンセントはセシルを抱え、教会の外へと歩き出す。進む先には、ここまで馬を走らせてくれたガストンが立っていた。 「ヴィンセント……」 「すまない。ここまで付き合ってくれた君には感謝しているよ、ガストン」  ただ黙って事の成り行きを見守っていたガストンとすれ違い様、ヴィンセントはそう言うと、躊躇いもなく光の中へと向かう。  ガストンは口を閉ざし、何も言わなかった。  セシルを抱えながら一歩、一歩を踏みしめ、歩くヴィンセントの肌は太陽の光に晒され、刻印を押されていく。  外に出ると、眩しいほどの光がヴィンセントを包み込んだ。 「セシル、愛している。君をひとりにはしないよ。たとえ現世になくとも、この想いは永遠に続く……君と共に――」  焼けるような灼熱がヴィンセントを襲う。太陽に当てられたヴィンセントの身体から黒い煙が立ち込める。象牙色の肌はみるみるうちに赤黒く焼けただれていく……。  鼻がひん曲がるような、異臭が周辺に充満する。魂すらも焼き尽くすその熱に、ヴィンセントの唇からは苦しみの唸り声が発せられる。転げ回るほどの痛みと熱――それらがヴィンセントを包み、蝕んでいく。それでも彼はセシルを離さなかった。腕の中にある華奢なその身体をきつく掻き抱く。 「愛しているよ、セシル」  彼の骨から肉が剥がれ落ちる。ヴィンセントはサファイアの目を深く閉ざし、太陽の焼かれる熱に身を委ねた。

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