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愛するということ。
それからというもの、ティモシーは酷い憤りを感じ続けていた。セシルやヴィンセントのように、夫のダイモンを思いやる気持ちはなかった。
互いを思いやる揺るぎない感情。何があってもけっして壊れないそれこそが、真の愛だったのだ。
「――ああ、そうか。わたしは憎しみに囚われ、夫のダイモンを――いえ、自分を愛することさえもを忘れていた。利己主義になっていたのはわたしの方だったのね」
大嫌いな人間たちになっていたのは誰でもなく、自分の方だった。ティモシーの両肩から力が抜けていく……。
憎悪で汚れた心を静めると、彼女は赤い唇を動かし、小さく呪文を唱えた。
「二人の命に免じて、わたしは貴方たちを――そして何より、怒りに身を任せ、利己的になっているわたし自身を許しましょう」
まるで鈴の音のようだ。呟くように言った彼女の声は澄んでいて、礼拝堂のすべてに響き渡る。
イブリンたちがほんの僅かに瞬きをした瞬間、そこにはすでに魔女ティモシーの姿はなかった。
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