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他には?

 ヴィンセントが喜びを体現している従弟をまじまじと見つめていると、普段、滅多なことでは他人に弱みを見せない彼の目に涙が浮かんでいた。どうやらガストンが言っていることは嘘ではないらしい。  自分たちは本当に助かったのだろうか。若干の疑いを抱きながらも周囲を見回す。そこには自分とセシル。それにガストン以外、他の姿がない。  では、自分と共にこの場へやって来たイブリンと、そして魔女と父親のダイモンはどうしたのだろうか。 「母上……母上は?」  ヴィンセントは眠っているセシルを抱きかかえ、一向に姿を現さないイブリンを探しに慌てて教会の中へ戻った。  両手が塞がっているヴィンセントの代わりに従弟が扉を開ける。 「どうか見ないで!!」  礼拝堂の中からは母、イブリンの嘆きにも似た声が聞こえる。その声は一児の母としてではなく、一人の女性のものだった。  彼女は祭壇の方を向き、父、ダイモンに背を向けている。これまで気丈にも涙ひとつ見せず、ヴィンセントを支え続けてきたイブリン。彼女の丸まった背中に苦しみとそして彼への恋心が垣間見える。 「わたしは若かりし頃のあのわたしではない。あばたも醜い老婆になってしまった……」  すすり泣くその声がとても弱々しい。 「いいや、君はいつまでもずっと変わらない。ぼくのイブリン」  ダイモンは首を振り、なんの躊躇いもなく彼女を受け入れる。彼はイブリンへ愛を乞うた。

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