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想い。
深い悲しみからはもうこれ以上堪えられない。
セシルは強く目をつむった。
あまりにも苦しくて、あまりにも悲しくて、嗚咽が喉の奥で渦巻く。エメラルドの目からは次から次へと新たな涙が止めどなくくだっていく……。
セシルは彼のジレから手を離した。
肩を振るわせてしゃくりあげながら、誰よりも優しい彼から身を引く決意をした。
静かな空間にセシルの嗚咽だけが聞こえる。
「……わかった。君がどんなに痛がっても止めない。ぼくの本心は君が身をもって知ればいい」
カールトン卿が言った途端だった。彼は有無を言わさず、セシルの唇を塞いだ。
「ん、ぅう……」
カールトン卿からの口づけは絶対的な効果を生み出す。
心臓が早鐘を打ち、恋心を抱くセシルの胸は熱をもちはじめる。
セシルは両腕を彼の広い背中に回し、火照る身体を力強い彼に委ねる。
赤い唇から放たれるのは嗚咽ではなく、艶のある声だ。セシルの後頭部にまわされた手によって口角が変わる。唇の接合はより深くなる。
カールトン卿の舌が唇をノックすれば、セシルは従順に受け入れてしまう。開いた口の隙間から忍び込んだ彼の舌がセシルの舌を捕らえた。
「んぅう……」
ざらついた舌の感触が身体の芯を疼かせる。
セシルの身体に宿ったその熱が下肢の一箇所に集中するのが判る。
薄い唇がセシルの舌を吸い上げられれば、もうどうにもできない。ベッドの上でセシルの腰が揺れはじめる。
彼との行為によって、セシルの一物がキュロットの布地を押し上げていく……。それを知ったのか、カールトン卿はもう片方の手を伸ばしてキュロットの上からセシルの一物をそっと包み込んだ。
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