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貴方が好きです。

 与えられる深い口づけにセシルの甘い声が漏れる。甘い艶のある声が室内に響く。  力強い彼の腕がセシルを強く掻き抱く。そしてカールトン卿はとうとう限界を迎えた。雄々しいそれをセシルの最奥に深く沈め、溜め込んでいた欲望を解き放った。  彼が放つ欲望がセシルの腹部にだくだくと注がれていく……。 「あ、熱いっ! ああっ!」  セシルもまた、注がれる欲望を一身に受け、果てた。 「愛している。セシル……」  ほぼ同時に果てた二人はベッドに倒れ込む。  カールトン卿の優しく情熱のこもった声と言葉に、セシルの胸を打つ。頬を伝うのはあたたかな涙だ。 「僕も、愛しています」  セシルもまた愛を告白すると、カールトン卿がにっこり微笑んだ。  その笑顔はとても晴れやかで、あたたかなものだった。プラチナブロンドが窓から差し込む日差しに反射して、きらきらと輝いている。 (なんて綺麗なんだろう……)  自分はこれまでいったい何度、彼に見惚れているだろうか。  彼の微笑はおそろしく効果的だ。慕情を抱き続けるセシルを蕩けさせる。胸があたたかいもので一気に満たされていく――。 「ヴィンセント、ヴィンセント!!」  赤い唇が小さく震える。セシルはあたたかな涙を流し、力強い彼に身を委ねた。そしてカールトン卿もまた、セシルの身体をよりいっそう強く抱き締める。 「セシル、一緒になろう。ぼくと結婚してほしい」 (彼の言葉は本心だ)  セシルはカールトン卿からのプロポーズに喜びの涙を浮かべた。けれども込み上げてくる気持ちはあまりにも大きすぎて言葉にできない。だからセシルは身を擦り寄せ、静かに頷いた。  穏やかな明るい日差しが彼らを包み込む。  窓辺から聞こえてくる小鳥の囀りは、まるで自分たち二人を祝福してくれているようだった。

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