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溜まっていく疲労。

 ロゼッタの赤い唇が弧を描き、頬は薔薇色に染まっている。どうやら相当嬉しいことが彼女の身に起きたようだ。 「ああ、セシル。今夜は大切なお客様がお見えになるから、それまでに、いつも以上に屋敷中をピカピカにしておきなさい。それから容姿も何もかも汚いお前は、用事が済んだら絶対に部屋から一歩も出歩いてはいけませんからね」  はしゃいでいる愛娘を見ていたビオラは、セシルを目に入れるなり、厳しい口調でそう告げた。 「……はい、ビオラ」  熱のせいで頭が痛い。胸の息苦しさに咳き込みながら、セシルは深く頷いた。  その矢先だ。セシルの身体は大きく揺れ、中心軸を失った。ものの見事に埃の中に突っ込んでしまった。 「何をしているんだい、こののろまは!! それにしても汚いお前にはその埃がお似合いだこと。さあ、ロゼッタ。貴女に似合うとても綺麗なドレスを買いに行きましょう。それから美味しい夕食を届けてもらうよう、オーダーをして……ああ、今日も忙しくなるわね」  ビオラは床に倒れ込んでいるセシルに冷ややかな視線を送り、口汚く嘲ると、ロゼッタには満面の笑みを浮かべて二階の衣装室へと向かった。  玄関ホールに一人取り残されたセシルは惨めに打ちひしがれる。やるせなさに唇を噛みしめた。  視界が虚ろになりながら、それでも働き続けるセシルは、やはりいつも以上に仕事が捗らない。庭の掃除もろくにできないまま、とうとう夕刻になってしまった。

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