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イブリンのお願い②

 キッチンにふたたび姿を見せたイブリンの手には、彼女のものだろうか、あたたかそうなショールが見えた。それから彼女は手にしているショールをセシルの肩に掛けた。 生地はウールだ。見た目と同じように軽く、そしてあたたかい。 「まあ、可愛らしいわね。さあ、これであたたかいわ。でも十分とは言えないからヴィンセントが見つからなくても寒いと思ったらすぐ室内に戻ってくるのよ?」 「ありがとうございます。あの、少し行ってきます」 「お願いね。貴方たちが戻ってくる頃には、きっと美味しいポトフができあがっているわ」 「はい」  今や女性もののショールはセシルの華奢な身体をすっぽりと包み込んでいる。今の自分の姿を他人に見られるのは恥ずかしいが、この屋敷にはカールトン卿とイブリンしかいない。  セシルは特に気にも留めず、イブリンから手紙を受け取ると早速庭へと向かった。

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