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過保護①
振り返ると、そこにはすらりとした長身に無駄な贅肉のない引き締まった肉体美のカールトン卿が立っているではないか。
――ああ、今夜の彼もまた、この静かに咲き誇る花々のように凛々しく、そして美しい。
「驚かせてすまない」
「……いえ。あの、僕こそごめんなさい、勝手に庭へ入ってしまいました」
カールトン卿の謝罪に首を振りセシルは答える。
「ここは君の家も同然だ。気にしなくともいい。それより、ぼくを探してくれていたのかな?」
「あ、えっと。手紙を、渡し忘れていたので……」
そこでセシルはここへ来た当初の目的を思い出した。ポケットに入れていた手紙を探していると、彼の表情はくもってくる。何事かと思って尋ねようと口を開けば、それよりも先にカールトン卿の口が動いた。
「君はまた、そんな薄手でぼくを探していたのか?」
彼は咎めるような口調で尋ねてきた。
「あの、お言葉ですがカールトン卿がおっしゃられるほどそんなに薄手じゃありません。寒いといけないからってイブリンが渡してくれました。だから寒くはありません」
冷えるからいけないと、彼女はわざわざ自室の二階にまで足を運び、ショールを取りに行ってくれた。
彼女の好意はとても嬉しい。だからセシルは精いっぱい首を振り、彼に話した。
けれども彼は納得していない。依然として表情をくもらせたままだ。
「……母上……いったい何を考えて……とにかく君はこれを着なさい」
「だめです! カールトン卿が凍えてしまいます!」
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