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それはダメですっ!

 セシルはただただ自分の前で可憐に咲くホワイトプリンセスを見つめるしかなかった。 「気に入ったのかい? 何なら寝室にでも飾ろうか」  セシルがそれっきり何も言わないままだったから、視線の先に気が付いたのだろう彼は、ほんの少し体勢を整え、長く伸びたホワイトプリンセスの茎を手にした。  彼は今にも茎を手折ろうとしている。 「だめっ!!」  セシルは慌てて茎を持つ彼の手を掴んだ。  違う。なにもそういう意味でホワイトプリンセスを見ていたのではない。カールトン卿の愛情に応えたホワイトプリンセスが純粋に美しいと思っただけなのだ。せっかく綺麗に咲いているその花を手折るのは、とてもではないが気が引ける。 「セシル?」  茎から彼の手が離れる。  ほっと安心したものの、次にやって来たのはまた違った焦りだった。  セシルが彼の手を掴んだことで、カールトン卿との距離がずっと近くなった。それに加えて、触れた彼の手から自分の手を引き剥がすタイミングを見失ってしまったのだ。 「あの、みんなと一緒に咲いている方が……ずっと綺麗だから……孤独は寂しいです」  カールトン卿の提案にセシルは強く否定した後、恥ずかしくなって口をもごつかせる。  視線はすっかり彼の胸板へと移っている。 「セシル……本当に君はなんて可愛らしいんだろうね」  そう言った彼の声はセシルの耳孔をくすぐる。  彼の手を掴んだセシルの手は、もう逃れられない。  骨張った長い指がセシルの指を絡め取る。セシルの指先に甘やかな痺れを伴わせた。

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