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口づけ。
セシルの髪で遊んでいた指が、うなじに触れる。カールトン卿へと導かれていく……。
「……ふ」
セシルは彼の引力に逆らえず、そのままうっすらと唇をひらく。
薄い唇がセシルの下唇に触れた。
与えられた弾力のある唇の感触によって、セシルの身体の芯にまた新たな甘い痺れが生まれた。
庭のそこかしこから香ってくるホワイトプリンセスの甘やかな香りが鼻孔を抜ける。
薄い唇がセシルの唇を甘く噛む。
じくじくと疼き続ける下肢で頭がどうにかなってしまいそうだ。
(頭が、くらくらする……)
薄い唇はまるでセシルの唇の形を確かめるようにしてそっと包み込んだ。
「ふ……う」
セシルはとうとう堪えきれなくなって甘い声をその口から漏らした。
その声はまるで女性が喘ぐように甘い。そして彼から与えられる口づけの続きを強請っているようでもあった。
口からこぼれるため息さえも彼の唇によって飲み込まれていく……。
けれどもセシルの息は徐々に上がってきている。彼との、この魅惑的な行為はこれ以上続けることができない。
セシルは彼との口づけの合間に口を開き、外の空気を求めた。するとそれを好機だと思ったのか、ざらついた舌がすかさず口内へと潜り込んでくる。
セシルは彼から与えられる熱に浮かされつつも、初めての行為に驚いた。
「んぅうっ!」
こんな口づけは知らない。
なにせセシルはこれまで召使いの如くハーキュリーズ家で働かされていた。知識はあっても女性とこういう経験は当然ない。
びっくりしたその拍子に、彼との唇の距離がほんの少し生まれた。けれども彼はセシルを諦めなかった。ふたたび薄い唇が吸い付いてくる。
ざらついた舌が開いた口内に侵入すると上顎から歯列をなぞり、下顎へーー。セシルの口内を自由気ままに動く。
そしてとうとう、彼はセシルの舌を捕らえた。
「っふ、あ……」
互いの舌が絡まると、セシルの下肢がさらに疼きを増した。セシルの華奢な腰が揺れる。触れている箇所に摩擦が起きる。
リップ音と水音がセシルの頭に響く。
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