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穢れ。

 彼のもう片方の手がセシルの太腿に触れる。キュロット越しではあるものの、それでもその効果は抜群だ。触れたその箇所からさらなる熱が宿るのを感じた。  セシルの身体が大きく震えた。  どんなにいけないと判っていても、身体が反応してしまう自分が厭らしい。  穢らわしい。 「セシル? 君は――……」  セシルの様子に何かを察したらしい彼は静かに手を離した。  そしてセシルは次の瞬間、目を疑った。  なんと彼は、太腿にあったその手を内側に移動させたではないか。彼はあろうことかセシルのキュロット越しから、熱を帯び主張しはじめる部分に触れたのだ。  そうなると、セシルの陰茎は身をもたげ、キュロットを押し上げてくる。これではもう誤魔化しようにない。 「やっ! ダメ!!」 (カールトン卿に厭らしい身体だと思われた!)  セシルの目から涙がこぼれる。  ーーできることなら、こんなはしたない姿を美しい彼に見せたくはなかった。だからセシルはカールトン卿に一人部屋を願い出たというのに、それさえも叶わない。 「ごめ、なさい……お願いです。僕を納屋にでも入れて……閉じ込めてーー」  カールトン卿やイブリンにしても、こんなにも汚い自分を受け入れ、優しくする権利はない。  カールトン卿は対等だと言ってくれるが、穢らわしい自分が彼と対等であるはずがない。  やがて彼に拒絶されるだろうことを思えば、涙袋に溜まった涙がひと粒、ふた粒と絶え間なくこぼれ落ちる。涙はセシルのチュニックに染みを作っていく……。  両手で目を乱暴に拭っても零れ落ちる涙は絶えることがない。  震える唇からは嗚咽が弾き出るばかりだった。

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