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羞恥と快楽。

 ところがカールトン卿はチュニックの下から主張しはじめているセシルを見ても幻滅しなかった。 「ああ、セシル。これは自然な反応で……そうだね。君は今まであまりにも忙しすぎたんだ」  彼はそう言うと立ち上がり、泣いているセシルをベッドに寝かせた。そして彼の手がキュロットと下着をくぐり抜けると主張しはじめたセシルの一物にそっと触れた。 「えっ? やっ、なにっ? っひうっ!!」  涙で潤んでいる視界では、もう殆ど何も見えない。その分、感覚がずっと敏感になってしまう。  熱を持つセシルの一物が、ひんやりとした彼の手に包み込まれ、大きく脈打った。 「あ、うっ!」 「大丈夫だ」  混乱しているセシルをカールトン卿は優しく宥める。 「すぐ楽になるから、力を抜いて」  それは土台無理な話だとセシルは思った。美しい彼に熱を持つ根源の部分に触れられているのだ。力を抜けとそう言われても、言うとおりにできるはずがない。  セシルは身を固くして強張らせた。おかしな声を漏らさないよう、唇を固く引き結ぶ。これ以上穢らわしい声を出さないようにと歯を剥き出しにして強く噛む。おかげで唇が切れたらしい。口内に鉄の味がじんわりと広がった。 「セシル、唇を緩めなさい」  それも無理だ。この唇を解いてしまえばおかしな声を出してしまう。今よりももっと穢らわしくなってしまう。  だからセシルは首を振り、唇を噛み締め続ける。  口角から赤い血液が滴り落ちる。 「……セシル」  いくらカールトン卿の言葉であっても、聞けることと聞けないことがある。セシルは頑なに彼の提案を拒んだ。  すると一向に言うことを聞かないセシルに業を煮やしたのか、彼はあからさまに大きなため息をついた。

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