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知らないこと。
しかし、自分はいったい何を吐き出したいというのか。自慰も知らない無垢なセシルは、女性と男性の基本的な身体の構造については知っているものの、そういったセクシャリティーのことについて何も知らない。だから当然、他人に一物を触れられた経験もない。
休むことなく全身に血液を送り続けるセシルの心臓は破裂しそうなほどに大きく鼓動している。
セシルは、ただひたすらに与えられる快楽に染まっていく。
「あ、ああっ! カールトン卿!」
涙袋にまた新しい涙が溜まる。そして溜まった涙は堰を切って次から次へと零れ、上気した頬へと滑り落ちる。いやいやを繰り返せば散っていくーー。
今のセシルには、もうどうすることもできない。自らの両腕を彼の首に巻きつけ、身体を反らして喘ぐばかりだ。
「セシル、ぼくはヴィンセントだ。昨夜そう呼んでくれと言っただろう?」
先ほどセシルの唇を塞いだそれが耳元でぼそりと囁く。彼の甘い吐息がセシルの耳孔を攻める。わずかな刺激を与えられるだけでもセシルの息が上がった。
「っひ、ぅう、あっ! ヴィンセント、ヴィンセント!! もうっ、出したいっ!!」
これ以上は何も考えられない。執拗に一物をこね回され、脳は強烈な刺激に支配されていく。
「良い子だ。吐き出しなさい」
恥ずかしくて俯けば、カールトン卿の手がセシルの陰茎を包み、蜜で濡れぞぼっている光景が目に入った。張り詰めた陰茎のその亀頭から流れ出る蜜で、キュロットもじんわりと濡れている。
あまりにも卑猥なその光景を目の当たりにしたセシルは一気に昇り詰めていく。
「やっ、うそっ! やっ、あああっ!!」
生まれてはじめての快楽。
いけないと思っても唇はもう閉じることができず、喘ぐばかりだ。口の端からは飲み込めなくなった唾液が顎を伝う。
セシルは果てるまで喘ぎ続ける。やがて吐精すると意識を手放した。
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