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グレディオラス邸。

 果たしてイブリンは自分のことをどのように説明しているのだろうか。  気になったものの、それ以上口を出せずにいると、彼は続いて口を開いた。 「ぼくはガストン・グレディオラス。ガストンと呼んでくれて構わないよ。すでに聞いているとは思うが、イブリンとぼくの母が姉妹でね。ぼくとヴィンセントは年が近いこともあって兄弟のようにして育ったんだ」  彼は名乗ると、セシルに右手を差し出した。 「あ、あの。セシル・ハーキュリーズです。よろしくお願いします」  やはり彼はカールトン卿の親戚だったようだ。セシルは美貌溢れる彼らの容姿に内心頷いた。  セシルは緊張していたその胸を撫で下ろし、自分も彼と握手を交わす。にっこりと微笑み返した途端だった。ガストンと挨拶を交わしていたその手がカールトン卿の手によって離された。 「もういいだろう、ガストン」  カールトン卿はいったいどうしたのだろう。常に弧を描くその薄い唇は、今は不快そうにへの字に曲がっている。  もしかすると彼は、セシルがこの場に相応しくないと思い直したのだろうか。  それもそうだ。だって自分は名ばかりの地位しかない貧乏な暮らしを虐げられている。到底彼らと釣り合うはずもなければ、軽々しく口を利いていい相手でもない。  カールトン卿はただ社交辞令として自分をこの場に連れてきたに過ぎない。  カールトン卿やイブリンにしたって本当は、セシルがこの場に赴くこと自体を望んでいたわけでもないのだ。  セシルは今さらながらにパーティー会場に来てしまったことを後悔した。

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