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三人組。

 ⅩⅣ  ――暗い。  ここはいったいどこだろう。  セシルが次に意識を取り戻したのはそれからどれほどの時が過ぎた頃だろう。ふと天上を見上げれば、小さな窓から覗く満月はまだ天高く昇っている。  どうやらそこまでの時間は経っていないらしい。  そこは工場跡地のような場所だった。倉庫だろうか。かび臭い匂いが充満している。埃っぽい場所だ。  一室しかない天井は高く、月が覗く小さな窓がずっと上の方にあるだけだ。唯一の出入口は目の前にあるものの、鉄の扉で固く閉ざされている。果たして自分のような貧弱な腕で開いてくれるだろうか。  しかも両腕は後ろ手に縄で縛られ、身動きが取れない。  華やかなグレディオラス邸にいた筈の自分がなぜこんな陰湿な場所にいるのだろうか。そしてなぜ、縛られているのだろう。  目の前に広がる見知らぬその光景に不安が押し寄せる。  男が三人。セシルを囲むようにして気怠げに鎮座していた。 「攫ってくるよう頼まれたはいいが、この後どうするよ」  男の声が建物の中で反響する。セシルのすぐ背後にいる男が筋肉質な体格の男に尋ねた。どうやら彼が主犯格らしい。手にしているランタンで薄暗いこの室内を照らしている。  それともう一人。彼には見覚えがある。たしかグレディオラス邸の庭でセシルに声を掛けてきた中肉中背の男だ。 「さてね、どうしようかね」  主犯格の男はランタンを持ち上げ、面倒くさそうに呟いた。  赤々と燃える炎がセシルを照らす  眩しい。  セシルの視界が、ふいに差し込むような光に襲われた。  差し込む光に目が徐々に慣れてくると、見えたのは無精ひげを生やしているのっぺりとした男の顔だ。  そこで思い出したのは、グレディオラス邸の庭で口を塞がれ意識を失ったということだ。

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