カールトン卿から慌てて身を引くセシルは、けれどもおかしなことに盗賊たちにあった時のような恐怖はない。 　なぜだろう。カールトン卿に後ろを触れられると思っても嫌悪感すらないのは――。 　セシルにあるのは恐怖でも不快感でもなく、熱を持ちはじめるその身体――ただそれだけだった。 　馬油をまとった指がキュロットの中へと侵入し、セシルの臀部を撫でた。 「ここを？　こうして？」 「っ、ひあっ！」 　そして体内に生まれた熱はやがて下肢へと集まっていく……。 　セシルの唇から放たれるのは喘ぎにも似た悩ましい声だ。 　けれどもカールトン卿はそれだけでは終わらせない。彼は空いているもう片方の指さえもセシルの下肢へと這わせていく……。 　彼は片方の手同様にキュロットをくぐり抜ける。前で強調しはじめているセシルの一物に触れた。 　セシルは慌てた。だってこの行為が自分を悩ます快楽にしかならないことは既に経験済みだ。 「やっ、どうしてっ！！」 　狼狽えるセシルの陰茎を包む手は、器用にそこを扱いていく。 「あっ！」 　喘ぐのを止めようと両手で塞ぐのに、両手はまったく役に立ってくれない。鼻にかかった甘い声が口をついて出る。 　根元から先端へ、そして先端から根元へと指が動き、セシルを攻める。その隙を突いて、馬油をまとった後ろにある彼の指の一本が臀部の割れ目へと侵入した。 　後孔に侵入する指はとても慎重な動きをみせる。肉壁をゆっくり割り開き、盗賊に無理矢理突っ込まれ、切れてしまった箇所へ這う。 「っひ、あっ！！」