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彼は経験豊富。
後孔に入る指はセシルに若干の痛みを残すものの、けれどそれ以上の痛みはない。
陰茎を弄られ、快楽を与えられたセシルには今はそれどころではなかった。
華奢な腰が跳ねる。
その度にベッドのスプリングが軋みを上げた。
セシルの頬は赤みが増す。身体が上気して熱を持つ。
今や赤い目に浮かぶ涙は恐怖ではなく、快楽によるものへとすり替わっていた。
「そう。与えられる快楽にのみ、集中しなさい」
「やっ、ヴィンセント……っは」
耳元で囁かれれば、彼の熱い吐息が耳孔に侵入する。
身体が熱い。蕩けるようだ。
後ろと前を同時に触れられ、セシルはもうどうしていいのか判らない。
「ヴィンセント、ヴィンセント……」
ただひたすらに喘ぎ、彼の名を呼ぶ。
そして下肢からは水音が弾き出される。
身体全体に血液を送る心臓はより大きく鼓動し、脈が速くなる。
後孔に指を入れられ、女性のように喘ぐセシルはこれまでにない羞恥を覚えた。
意識してしまえば最後、後孔へ侵入したその指を自らの肉壁で締めつけ、きつく咥え込んでしまう。
「やっ、ヴィンセント。もっ、僕っ!!」
「良い子だ。もう終わる」
押し寄せてくる快楽の波はより大きくなる。恥ずかしいという気持ちと、もっと自分に触れてほしいという願いがない交ぜになる。
セシルは頬を赤らめ、涙しながら快楽に溺れまいと必死に首を振った。
それはとても不思議だった。あんなに恐怖と苦痛しかなかった行為は、けれども相手がカールトン卿だと恐怖を感じない。
それどころか自分はこんなにも従順に身を委ねてしまう。
カールトン卿はこういった行為に勝手を知っているようだ。とても手慣れた手付きでセシルに触れる。
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