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「……待て、……俺はなにやってんだ」 ふと我に返れば頭を抱え、今さっき起こした行動に対し後悔ばかりが湧き上がる。 「俺がココに残ってどうすんだ……」 騒がしい男連中を外へ放り出したことに関しては、なんの後悔もなければ清々しい気分になる。 それよりも問題なのは、何故またこの場で1人残ってしまっているのか。 「……どうすんだよ」 頭を悩ませるものの、ここで素直に扉を開いて招き入れることなど出来なければ、その気もない。 しかし、この状況で一番不利なのは誰かを考えると、このままのんびりもしていられない。 通報でもされてみろ、不法侵入でもなんでも簡単にでっち上げれるぞ。 「……」 暫しの時を、これからどうするべきか頭を悩ませていたが、あることに気付きパッと顔を上げた。 「……やけに静かだな」 つい先程までは扉一枚隔てていてもうるさく聞こえていた言い合いが、今ではすっかり消えている。 「……なんだ? 奴ら何処行きやがった」 この家のことについては、2人のほうが熟知している。 扉を開け外の様子を窺うべきか、それとも放っておくべきなのかまたしても頭を悩ませる。 幾らなんでも大人しく学校へ行ったとは考えにくい、確実に向かってはいないだろう。 「……アホらし」 悩んでみたところで良い案が浮かぶわけもなく、ゆっくりと立ち上がり鍵を開け、そっと扉を開いてみる。 「……あの野郎、何処行きやがった」 すでにそこには誰もおらず、顔を出しキョロキョロと辺りを見渡す。 近くに潜んでいる気配も全くせず、どうやら諦めて何処かへと去ったらしい。 何処かへ行けと無理やりに追い出してしまったものの、いざこうなるとなんだかとても微妙な気分になる。 「……どーしろって」 またしても、1人取り残されてしまった。 何を気にするでもなく朝と同じように出て行けばといいと思うのだが、何故かすんなりと行動に移せないでいる。 鍵を閉めて行けば2人が帰って来ても入れない、かと言って開けて去るのもどうなんだろう。 んなこと……! 俺が気にする必要ねえだろがっ!! ここは俺んちじゃねえんだ! とっとと出て行きゃいいじゃねえかっ!!! 「……」 自ら暴力を求め、血生臭い世界の中に身を置いてきた。 そんな自分に今、なにか物凄く有り得ない感情が浮かび上がっている。 気が立っていたとは言え、ああも乱暴に外へと追い出してしまったのは、流石に悪かっただろうかと。 「……マジかよ」 多少なりともまだ、罪悪感というものが残っていたらしい。 いちおう血は、通ってるからな。

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