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「あ~あ、……こんなんじゃさ、絶対コイツくたばんないって」 「は? じゃあどうすんだっつの」 暗さが手伝い視界は霞む、滲み出た血が口元から滴っていく中なんとか意識を支え、その場に立ち尽くしているだけで身体は精一杯だった。 見てらんねえカッコ悪さだな、死んだほうがマシなんじゃねえのか。 薄らぎ始めた意識を漂いながら、微かに鼓膜を揺さぶってきた会話を聞いて内心頷く。 当然だろが。 あの程度でなあ、この俺をどうにか出来ると本気で思ってたのか? 「もっとさ~、違うことすんだよ。俺、いい事思いついちゃったんだよねえ」 「んだよそれえ。もったいぶってねえでさっさと言えって」 「ハハッ! ……こういう事だよ」 意味深な言葉を放った男は、次の瞬間に行動へと移す。 あまりにも予想外なことに、理解するには長い間を必要とした。 「!? ……っにしやがるテメエッ……」 瞬間的に奥へと引っ込んでしまった言葉を再び呼び戻し、怒気を露わに地を這うような低音を響かせる。 それ位で逃げ出してくれるような奴なら、最初からこんなことにはなってねえ。 「こっちのがよっぽど……よくねえ? コイツ顔はいいしさあ、やってやれねえことはねえだろ?」 「っ! ……に考えてんだテメエッ……」 含むような物言いを続ける1人が、するりと手を下腹部に添え滑らせていく。 自身へそっと布越しに触れ、途端にゾクりと背筋を這っていく悪寒にも似た感覚。 正攻法では潰せないとみて、このやり方を選んだらしい。 「野郎にやられてあんあん喘ぐ姿とか最高情けなくね? ぜってえ生きてけねえって」 「いや、でもよ……顔良くても所詮男じゃん。マジでやんの?」 「マジに決まってんだろ? ぜってえこっちのが楽しいって、なあ?」 ふざけんじゃねえ! 勝手に話進めてんじゃねえぞコラッ!! 「テメエみてえな変態の相手してる暇なんてねえんだよ。溜まってんなら1人でどうにかしろや」 ゴッ 「くっ……! っ……」 「口の聞き方には気を付けようぜ? お前、自分の立ち場分かってる? テメエが変態だっつうことを今から証明してやっからよ、少し黙ってろよこのボケが」 生地越しに自身へと触れていた手、突然にキツく形を握り込まれる。 瞬間ビリりと全身を駆け抜ける痛みに見舞われ、唇から零れ落ちるは耐えきれなかった苦い声、状況は不利になる一方だった。 「激しいのが好きなんだよなあ?」 「テ、メッ……、うっ! ……くっ」 両側で立つ男の仲間に腕を拘束されているお陰で、ささやかな抵抗すら出来ずにただ見ていることしか許されない。 「あれ~? なんかさァ、コレ……もしかして勃ってきてる?」 「んっ……、テメエッ……!」 拒絶されるべき行為に、理性を無視し徐々に高ぶりを増していく自身が確かに存在していて、なによりもまず自分に腹が立った。 主張を強めていく身体、無情なまでに思考を裏切り欲を深めていくばかり。 「ふっ……ん、……はっ」 ギュッと目を閉じ耐え忍ぼうとしても、ほんの少し加えられた刺激だけで、容易く唇からは甘みを含んだ吐息が滑り落ちてしまう。 やわやわと布越しに与えられる微妙な刺激は、肝心なところをすり抜けては遠回しな痺ればかりを残す。 「……やべえ。なんかコイツの声、モロにくんだけど」 「咲ちゃ~ん、すっげえ元気になってきちゃったね? これ、なんすかね~?」 「あっ! んっ……、はっ」 意識が崩れ、混濁する。 核心を衝かない愛撫の繰り返しに、理性を焼かれ欲を得たい本能が顔を出し始めていく。 これ以上はいけないと僅かに残る冷静な思考が警鐘を打ち鳴らすけれど、この事態から劇的に逃れる力がもう、この身にとどまってはいなかった。 「なんか息上がってきた? ……そんなにイイんだ? つかこんな大勢の前だから、余計興奮しちゃう?」 「ちっ……が、ぁっ」 周り全てから注がれる視線を、一身に浴びる。 クソ……ッ! 殴られてたほうがかなりマシだなっ…… 「こっからどうしてほしい? ずっとこのままでいいなら別にいいんだけど~」 「……」 掠めるような触れ方に、中心に集まるやり場のない熱。 視線、息遣い、大勢の存在に囲まれながら情けなく高ぶらせる自身、育つ欲から懸命に逃れようと拒み続ける。 これ以上一体、どうすればいい……。

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